2006年01月01日

The Strokes/First Impressions Of Earth

ストロークスの記事だけで3つ目になってしまい、何だかファンサイトみたいになってきましたが、このアルバムを紹介しない訳にはいかないです。3作目「First Impression Of Earth」と名付けられたこの作品は、その名に恥じないスケールの大きさ、そして、ポップミュージックの将来の明るい眺望を見事に表現しています。

何から書き始めようか迷うところなのですが、とりあえずピコピコギターは健在です(笑)。前作において、そのリードトラックでもあった「12:51」のボーカルをなぞるギターがギターに聴こえずに印象的だったのですが、同様の音色が数曲で相変わらず見事にうたっています。以前の記事でも書いた(コチラ)のですが、先行シングルがハードなリフ満載だったので、もしかしたら筋肉ゴリゴリのアルバムになるのでは?という危惧があったのですが、いい意味でそれを裏切ってくれました。Juiceboxを聴いて初めてストロークスを知ったファンも楽しめるし、Room On Fireが好きだった方にとってはその発展形を楽しめるアルバムになっていると思います。

ただし、やはりIs This Itの頃とは趣を異にした作品となっているように思います。あの頃は、楽器を確信犯的に軽く聴かせ、ボーカルを含め各パートが曲の「雰囲気」を引き立たせることに重きを置いているような感じがしていたのですが、本作品においてはそれぞれのパートが弾けんばかりの自己主張をしています。そして、それが曲として崩壊するギリギリのところで保たれているのです。結果として、メロディもリズムも複雑かつ怪奇ともとれるような、こんな展開あり得ないだろ?な感じになっている箇所が見受けられます。と否定的にもとれるように書きましたが、この作品の最も素晴らしいところは、そんなギリギリの曲たちを、見事なまでにまとめ上げ、美しく儚く、時には暴力的に、そして何よりポップミュージックとして響かせているところです。ジュリアンの描く音世界を一枚目、二枚目を経てほぼ完全に近い形で表現し切ったのではないかと思わせます。

しかし、あくまで「完全に近い」のであって「完全」ではなく、その懐の深さを、というか底の見えなさを聴き手に感じさせます。どこに行っちゃうかわからない不安感と、それ故に愛させて止まない思春期の恋愛感情に似た衝動を与えるのです。特にI〜Lの流れがそのような感情をフラッシュバックさせる展開で、あまりに素晴らしいです。また、@〜Cの流れも素晴らしくポップです。アルバムの流れ、構成もこれしかないですかね。

では、名曲堂殿堂入りの数曲を曲ごとに紹介して終わろうと思います。

@You Only Live Once…アルバム一ポップな眩い名曲。ポジティブな歌詞に、思わず踊りたくなるようなダンサブルなビートが印象的。音の分離が非常に良く、軽快な音の展開を楽しめる。

AJuicebox…@から一転、メタリックなリフが鳴り響くアルバム一、二を争う剛の佳曲。それでも、独特の節を失わずストロークスたりえているところが圧巻。

BHeart In A Cage…本作では、ギターによるアルペジオが一つのキーワードとなっているようで、普通だったらコードを「ジャン」と鳴らすところを敢えて単音に分離させて流しているらしい。この曲のイントロ等様々な所でそれを聴くことができ非常に印象に残る。ジュリアンの悲しげな「Left」の連呼が涙を誘う。

CRazorblade…前述のピコピコギターを効果的に散りばめた、メロディアスな一曲。悲しげなボーカルと思わず笑みがこぼれるギターリフとのギャップに胸が熱くなる。

EVision Of Divison…疾走感ではアルバム一か。ストロークスのツインギターの魅力が楽しめる。途中はリフの嵐。何だコレ。

J15 Minutes…ワルツを彷彿させる前半の三拍子は明らかに後半の布石。予測していても転調後のグルーヴィな展開には心躍る。ライブで縦ノリで歌いたい。

KIze Of The World…アルバムのハイライトか。混沌と純粋と獰猛と繊細と美麗と…数え上げられないくらい複雑な感情を抱かせる問題作。個人的にこの曲のギターソロが失禁物だ。誰にでも弾けそうなのに。反則的な音色。今聴きなおしたらビートまで反則。

LEvening Sun…普通だったら、この曲をラストに持ってきそうだがそうしないところがらしいと言えばらしいか。静かな中に、溢れんばかりの熱情が封じ込められた名曲。どこにでも行けそうで、どこにも行けないストロークスのもがきまでも感じられる苦しい一曲。メロディは一年に一曲レベルの美しさか。






B000BV7TH0ザ・ストロークス

送料無料

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

posted by mas at 17:01| Comment(4) | TrackBack(14) | The Strokes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月12日

The Strokes/Juicebox

アルバムの先行シングルをオフィシャルサイトで見ることができました。「Juicebox」と名付けられたこの曲はストロークスの新たな可能性を感じさせます。

これまで聴いた、どの曲よりも初期衝動に忠実な、これが彼らの原点ではないかと感じさせるサウンドです。この人たちは元々、それぞれのパートの自己主張が強いのですが、この曲では今まで以上に獰猛に鳴らされています。ベースから始まるイントロが印象的ですが、全体に統一されているソリッドなギターが非常に頭に残ります。メロディのセンスとしては、やはり他のバンドとは一線を画す出来栄え。「らしさ」を出しつつ、革新的であるというのは非常に困難なことなのですが、それをサラリとやってのけています。ファーストとは明らかに異なった出来の3作目になるでしょうが、相変わらずの期待大です。First Impression Of Earth。




B000BV7TH0ザ・ストロークス

送料無料

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

posted by mas at 23:20| Comment(7) | TrackBack(3) | The Strokes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月02日

The Strokes/Room On Fire

2000年頃だったからでしょうか、全世界的ににわかにロックンロール・リバイバルという現象が巻き起こってきたのは。その静かな嵐の中心にいたのは、まぎれもなく、このストロークスであると私は確信しています。何の変哲もない、ギターとベースとドラムが紡ぎだす音に、ボーカルがのっただけという究極的にシンプルなロックンロールのスタイル。最初に聴いた時に小さな感動を覚えたのは、そのあまりの音数の少なさに、当時の飽和をむかえた複雑な音に対する反発があるのかと思っていました。そして、そのような懐古主義的なシンプルなロックスタイルに、ロックを愛する全世界の若者たちが心踊らされたようで、このストロークスをきっかけとして上記のロックンロール・リバイバルと呼ばれる現象が起こっていきます。

しかし、本日紹介する2ndアルバム『Room On Fire』の発表でもって、私は「リバイバル」の語にあまりに重きを置き過ぎていたことに気づかされました。つまり、「古き良きもの」を巧みに利用しただけのバンドであるという印象を180°転換せざるを得なくなったのです。彼らの音楽はあくまで、その自由な創造力に基づいた新たな発想でもってつくられています。@What Ever Happened?を聴けば、一発でそのことに気づくはずです。驚くまでに冷めたメロディが、甘さとほろ苦さと活力が複雑に混ざり合った、微妙な感情を我々に与えます。そして、その心地良さと言ったら。アルバムの解説の方が、おっしゃられているように、懐古も何も彼らには「この音しか必要なかった」のです。陳腐な言葉しか思い浮かばないのですが、紛れもなくジュリアンを中心とした彼らの「センス」としか言いようがありません。C12:51の癖になるボーカルラインと、それを丁寧すぎる程に追いかけてくるギターに聴こえないリフ。全てが確信犯です。一度聴いたら一週間は聴かない日をつくれない中毒性が、そのあたりの細かなアレンジにより産み出されています。終盤は多少、閉塞感が否めませんが、アルバム全体のバランスを考えれば、このような構成がベストであったのかもしれません。

日本のバンドでは、滅多におめにかかれないタイプの音楽です。しかし、何の変哲もないただのバンドサウンドのため、軽い気持ちで一度聴いてみてはいかがでしょうか。個人的にはセカンドをまず聴いてみることをおすすめします。



Reptillia。カッティングに涙。



B0000C9ZLDThe Strokes

RCA 2003-10-28
売り上げランキング : 59,016

おすすめ平均 star
starシンプルでポップ
star前作以上にポップな作風
starよい

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

posted by mas at 00:11| Comment(3) | TrackBack(4) | The Strokes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。